いじめ防止基本方針
はじめに
いじめは、いじめられた生徒の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるものである。場合によっては、その生命や身体に重大な危険を生じさせる恐れがあり、絶対に許されるものではない。
そのため、いじめ防止対策推進法第13条の規定に基づき、教職員が組織一丸となって、いじめ防止等の対策をより一層効果的に推進するため、本校としての基本方針を策定するものである。この基本方針では、いじめの防止等の対策の基本的な方向を示すとともに、いじめの防止や早期発見、いじめへの対処が、本校において体系的かつ計画的に行われるよう、講じるべき対策の内容を具体的に記載する。また、いじめの防止等に係る日常的な取組の検証・見直しを図る仕組みや、本校におけるいじめの防止に資する啓発活動や教育的取組を具体的に定める。
(学校いじめ防止基本方針)
第13条 学校は、いじめ防止基本方針又は地方いじめ防止基本方針を参酌し、その学校の実情に応じ、該当学におけるいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針を定めるものとする。
1 いじめの防止等のための対策の基本的な方向に関する事項
(1) いじめの定義
「いじめ」とは、生徒に対して当該生徒と一定の人的関係ある他の生徒が行う心理的物理的な影響を与える行為(インターネット等を通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものをいう。
具体的ないじめの態様には、以下のようなものがある。
① 冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる
② 仲間はずれ、集団で無視をされる
③ ぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする
④ 金品をたかられたり、隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする
⑤ 嫌なことや恥ずかしいこと、危険なこと、不本意なことをされたり、させられたりする
⑥ パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる
ただし、いじめには多様な態様があることに鑑み、いじめに該当するか否かを判断するに当たって、「心身の苦痛を感じてるもの」との要件が限定して解釈することのないように努めることが必要である。
(2) いじめに対する基本認識
子供達のいじめを防止するためには、子供を取り囲む大人一人一人が、以下のような意識を持ち、それぞれの役割と責任を自覚することが必要である。
① いじめは絶対に許されない
② いじめは卑怯な行為である
③ いじめはどの子にも、どの学校でも、起こりうる④ いじめは大人の見えないところで行われることが多く、発見しにくいじめの問題の克服は、心豊かで安全・安心な社会をいかにして作るかという、学校を含めた社会全体の課題である。
(3) いじめの防止等の対策に関する基本理念
いじめの防止等の対策は、以下の 4 点を重視して行わなければならない。
① 全ての生徒が安心して学校生活を送れるようにするため、学校の内外を問わず、 いじめが行われなくするようにすること。
② いじめを認識しながら放置することがないようにするため、いじめが、いじめら れた生徒の心身に深刻な影響を及ぼす許されない行為であることについて、全ての生徒が十分に理解できるようにすること。
③ いじめ防止等について生徒の主体的かつ積極的参加が確保できるよう留意し、生徒がいじめの問題を自ら解決していこうとする態度を育成すること。
④ いじめを受けた児童生徒の生命及び心身を保護することが特に重要であることを認識しつつ、市、学校、地域住民、家庭その他の関係者の連携の下、いじめの問題の克服を目指すこと。
(4) いじめの防止等に関する基本的な考え方
「いじめは どの子にも、どの学校でも、起こりうるものである」との認識に立ち、以下の 3 つの視点でいじめの防止等のための取組を行う。
① いじめの未然防止
いじめの問題を根本的に克服するためには、関係者が一体となっていじめを生まない土壌を作ることが重要である。教育活動全体を通じ、全ての生徒に「いじめは決して許されない」という基本認識の徹底を図り、生徒の豊かな情操や道徳心、自他の存在を等しく認め、互いの人格を尊重し合える態度等、心の通う人間関係を構築する素地を養うことが必要である。また、いじめの背景にあるストレス等の要因に着目しストレスに適切に対処できる力を育むこと、自己有用感や充実感を感じられる学校づくりをすること等が重要であり、併せて、家庭、地域と一体となって取組を推進するための普及啓発をすることも必要である。
② いじめの早期発見
いじめの早期発見は、いじめへの迅速な対処の前提であり全ての大人が連携し、 生徒の些細な変化に気づく力を高めることが必要である。いじめの早期発見のため、定期的なアンケート調査や教育相談の実施、電話相談等により、生徒がいじめの被害や事実を訴えやすい体制を整えるとともに、家庭、 地域、教育委員会をはじめとする関係機関と連携して生徒を見守ることが必要である。なお、いじめの認知は、特定の教職員のみによることなく、本校の組織を活用して行うことが必要である。
③ いじめの早期解消
いじめがあることが確認された場合、直ちにいじめを受けた生徒やいじめを知らせてきた生徒の安全を確保し、いじめたとされる生徒に対して適切に指導するなど組織的な対応を行うことが必要である。また、家庭や教育委員会への連絡・報告・相談の内容や、事案に応じては、関係機関との連携が必要である。 このため、教職員は、平素よりいじめを把握した場合の対処の在り方について、 理解を深めておくことが必要であり、また、本校の組織的な対応を可能とする体
制整備が必要である。
2 いじめの防止等のための対策の内容 いじめの未然防止
いじめは、起こっては消え、消えては起こり、小さないじめはしょっちゅう起こっている、という認識を教職員間で共有し、全ての生徒を対象に「いじめに向かわせないための未然防止」に取り組む。未然防止の基本は、全ての生徒が安心・安全に学校生活を送ることができ、規律正しい態度で授業や行事に主体的に参加・活躍できる学校づくりを進めていくことから始まる。居場所づくりや絆づくりをキーワードに学校づくりを進めていくことにより、すべての生徒に集団の一員としての自覚や自信を育まれるならば、いたずらにストレスに捕らわれることは減る。そして、互いを認めあえる人間関係・学校風土を生徒自らがつくりだしていくことができる。それが、未然防止の第一歩である。そこで、次の未然防止に取り組む。
(1) わかる授業づくり
生徒にストレスをもたらす最大のストレッサーは、友人関係にまつわる嫌な出来事、次いで、人に負けたくない、という過度の競争意識であり、勉強にまつわる嫌な出来事が続く。生徒が学校で過ごす中で一番長いのは、授業の時間です。授業が生徒のストレッサーになっていないか、授業の中での生徒のストレスを高めていないか、言いかえれば、授業中に生徒の不安や不満が高められていないか、というのは授業改善の大きなポイントである。そのために、
① わかる授業づくりを進める、すべての生徒が参加・活躍できる授業を工夫する。全ての生徒が授業に参加できる、授業場面で活躍できるための授業改善であれば、学力向上にはもちろん、いじめを始めとした生徒指導上の諸問題も未然防止にもつながる。
② いじめ防止のための年間計画の中に、授業を担当するすべての教員が公開授業を行って、互いの授業を参観しあう機会を位置づける。教科の観点からだけではなく、生徒指導の観点から授業を参考にし合うようにすれば、異なる専門教科の教職員からの助言や指導も受けられる。
③ 「学習の約束7箇条」や発表の仕方・聴き方を指導する。
④ 教師の不適切な認識や言動、差別的な態度や言動が、生徒を傷つけたり、他の生徒によるいじめを助長したりするので注意する。
(2) いじめ防止強化月間の設定
いじめ防止のための継続的な啓発のため、6 月と 11 月を「いじめ防止強化月間」と定め、いじめ防止を推進する取組を積極的に推進する。いじめに対する「行動宣言」を行い、学級や学年単位で「いじめを考える授業」や「いじめが起きにくい学級づくり」などに活用し、一人一人がいじめに対して自分にできる事を考える機会とする。
1 学期 6 月 1 日から 6 月 30 日まで
2 学期 11 月 1 日から 11 月 30 日まで(※11 月は埼玉県いじめ撲滅強調月間)
(3) 教師の言動・姿勢
① 「いじめの予防」として最も大事なことは、「何も起こっていないときの指導の大切さ」である。いじめを未然に防ぐことやいじめが起きたとしても早期に解決が図れるようにするために、教職員一人一人が普段の指導について謙虚に振り返るとともに、自身の人権感覚を磨き続けていくことが重要である。また、いじめられている生
徒の立場で指導・支援を行うために、
② 生徒の悩みを親身になって受け止め、生徒の出すサインを、あらゆる機会をとら えて見逃さない。
③ 自分の学級や学校にも深刻ないじめ問題が発生しうる、という危機意識を持ってあたる。
④ いじめられている生徒を守り通すことを最優先に、指導・支援する。
⑤ 教師は、日常の教育活動を通して常に生徒との信頼関係の醸成に努めることを念頭に置いて対応にあたる。いじめに関する事例を分析してみると、教師が直接・間接にいじめを生み出している場合がある。教師がいじめの発生に関わっている場合として、
ア 教師の不用意な一言が「いじめ」の発生を許容している場合
イ 教師の言動が結果的に「いじめ」の発生を許容している場合
ウ 教師の指導が徹底されず、「いじめ」の土壌を温存させている場合
などがあることに十分留意する。
(4) 学級づくり
生徒は、学校生活の大半を学級で過ごすため、いじめの発生を防止するには、学級づくりがとても重要であることから、
① 生徒が安心して学校生活を送れるように配慮する。
ア 生徒の気持ちを共感的に受け止める。(「先生は自分の気持ちを分かってくれている」)
イ 居場所をつくる。
ウ 見守る。(「いつもどこかで先生は見守っている。」)
エ 基準を示す。(例えば、「…してはならない。」だけではなく、「こんなときにはこうするといいよ。」など)
② 意欲や元気の源になるエネルギーをたくさん与える。
ア 分かる楽しさを与える。(「分かった。」と思えたとき、「もっと分かりたい。」というエネルギーがわいてくる。)
イ 自分の良さや自分との違いの良さを認める。(「これまで気がつかなかった自分や級友の良さを先生が教えてくれた。」)
ウ 生徒が自分の周りに起こる様々な問題を解決しながら、他者と調和的に生きて いくための社会的能力を育てる。
エ 生徒会活動など生徒が自主的に取り組むいじめ問題への取組を支援するなどのポイントを押さえた学級づくりに学校をあげて取り組む。
(5) 保護者同士のネットワークづくり
いじめの解決には、保護者への働きかけが大切であり、特に、保護者同士が知り合いだといじめにブレーキがかかることが多く、保護者同士の親密な関係が重要である。そこで、学級担任等がコーディネート役となり、学級規模で保護者同士のネットワークづくりを進め、いじめをはじめとする問題行動等の情報交換や対策について話し合うことなどを工夫する。また、「親の学習」の推進を通して、いじめの防止等のための保護者の役割についての啓発を図る。PTA活動を通じて、いじめの防止等のための保護者の役割についての啓発を図る。
(「New I’s」の家庭用いじめ発見チェックシートの活用)
(6) インターネットを通じて行われるいじめの防止
近年、SNS、フェースブックやライン等のよるネット上でのいじめが問題となっている。本校でも、例外ではない。生徒がインターネット上のいじめに遭遇しないよう情報モラルの徹底を図らなければならない。そこで、
① ネット問題について生徒向けの講演会を毎年度実施する。
② 保護者対象のネット意識啓発講演会を実施し、保護者の意識啓発を行う。
3 いじめの防止等の対策のための校内組織
(学校におけるいじめ防止等の対策のための組織)
第 22 条 学校は、当該学校におけるいじめの防止等に関する措置を実効的に行うため当該学校の複数の教職員、心理、福祉等に関する専門的な知識を有するその他の関係者により構成されるいじめの防止等の対策の組織を置くものとする。いじめの防止、いじめの早期発見及びいじめへの対処等に関する措置を実効的に行うため、本校において組織的な対応を行うため中核となる常設の組織を置く。いじめ防止等の対策を実効的に行うための組織として「見沼中学校いじめ問題対策委員会」(以下「対策委員会」という。)を設置する。このことにより、特定の教職員で問題を抱え込まず組織的に対応することで、複数の眼による状況の見立てが可能となる。また、必要に応じて真理や福祉の専門家であるスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー、弁護士、医師、警察官経験者など外部専門家等が参加しながら対応することなどにより、より実効的ないじめの問題の解決に資することが期待される。 また、この組織は学校いじめ防止基本方針に基づく、いじめの防止等に関する取組を実効的に行う際の中核となる組織であり、実際にいじめ若しくは、いじめと疑われる事案が発生した時の事実確認や重大事態が起きた時の調査をする組織の母体となるものとする。この組織の構成員は、管理職、教務主任、生徒指導主任、学年主任、各学年生徒指導担当、教育相談主任、養護教諭とし、個々の事案に応じて学級担任や部活動の顧問等が参加可能とする柔軟な組織とする。 また、いじめの未然防止・発見の実行化とともに、教職員同士の日常的なつながりや同僚性を向上させるためには、生徒に最も接する機会や目的を十分に果たせるような人員配置とする必要がある。このため、本校のいじめ対策の企画立案、事案対処等を、学級担任を含めた全ての教職員が経験することができるようにするなど、未然防止・早期発見・事案対処の実行化のため、組織の構成を適宜工夫・改善できるような組織とすることが有効である。対策委員会の具体的な役割は、次の通りである。
(1) 未然防止
いじめの未然防止のため、いじめが起きにくい・いじめを許さない環境づくりを行う役割
(2) 早期発見・事案対処
① いじめの相談・通報の窓口としての役割
② いじめの疑いに関する情報や生徒の問題行動等に係る情報の収集と記録、共有を行う役割
③ いじめに係る情報が(いじめが疑われる情報や生徒の人間関係に関する悩みを含む)があったときには緊急会議を開いていじめの情報の迅速な共有、関係のある生徒へのアンケート調査や聞き取り調査等により事実関係の把握といじめであるか否かの判断を行う役割
④ いじめの被害生徒に対する支援・加害生徒に対する指導の体制・対応方針の決定 と保護者との連携といった対応を組織的に実施する役割
(3) 学校いじめ防止基本方針に基づく各種取組
① 学校基本方針に基づく取組の実施や具体的な年間計画の作成・実行・検証・修正
② 学校基本方針における年間計画に基づき、いじめの防止等に係る校内研修を企画し、計画的に実施する役割
③ 学校基本方針が本校の実情に即して適切に機能しているかについての点検を行い、学校基本方針の見直しを行う役割(PDCA サイクルの実行を含む)
また、対策委員会は、生徒及び保護者に対して、自らの存在及び活動が容易に認識される取組を実施する必要がある。併せて、いじめを受けた生徒を徹底して守り通し、事案を迅速かつ適切に解決する相談・通報の窓口であると生徒から認識されるようにしていく必要がある。
4 いじめの防止等に関する措置
学校は、連携していじめの防止や早期発見、いじめが発生した際の対処等に当たる。
(1) いじめの防止
いじめはどの子供にも起こりうるという事実を踏まえ、全ての生徒を対象に、いじめに向かわせないための未然防止の取組として、生徒が自主的にいじめの問題について考え、議論すること等のいじめの防止に資する活動に取り組む。指導に当たっては、 発達段階に応じて、生徒がいじめの問題を自分の事としてとらえ、考え、議論することにより、正面から向き合うことができるよう、実践的な取組を行う。また、その際、
① いじめは重大な人権侵害に当たり、被害者、加害者及び周囲の生徒に大きな傷を残すものであり、決してゆるされないこと。
② いじめが刑事罰の対象となり得ること、不法行為に該当し損害賠償責任が発生し得ること。等についても、実例(裁判例等)を示しながら、人権を守ることの重要性やいじめの法律上の扱いを学ぶといった取組を行う。
③ 東日本大震災により被災した生徒又は原子力発電所事故により避難している生徒 については、被災生徒が受けた心身への多大な影響や慣れない環境への不安等を教職員が十分に理解し、当該生徒に対するいじめの未然防止・早期発見に取り組む。
④ その他、学校として特に配慮が必要な生徒については、日常的に、当該生徒の特性を踏まえた適切な支援を行うとともに、保護者との連携、周囲の生徒に対する必要な指導を組織的に行う。
生徒に対するアンケート・聴き取り調査によってはじめていじめの事実が把握される場合も多く、いじめの被害者を助けるためには生徒の協力が必要となる場合がある。 このため、生徒に対して、傍観者とならず、「対策委員会」への報告をはじめとするいじめをやめさせるための行動をとる重要性を理解させるよう努める。対策委員会は、学校基本方針に基づくいじめの防止等に関する取組を実効的に行う際の中核となる組織であり、必要に応じて心理や福祉の専門家、弁護士、医師、教員・警察経験者、PTA、地域の方など外部専門家等の参加を図りながら対応することによ
り、より実効的にいじめ問題の解決を図る。対策委員会は、実際にいじめ若しくは、いじめと疑われる事案が発生したときの事実確認や重大事態が起きたときの調査をする組織の母体となるものとし、必要な場合は公平性・中立性を確保するため、行田市教育委員会との連携を図り、専門的な知識及び経験を有する第三者として、弁護士、精神科医、学識経験者及び心理や福祉の専門家等の参加を図る。ただし、行田市教育委員会が本校における調査が困難と判断した場合には、行田市教育委員会の審議会による調査を行うものとし、その調査に協力する。さらに、対策委員会では、本校の基本方針の策定及び教職員間の共通認識の促進、保護者、地域への周知、必要に応じた評価と見直しを担う。生徒指導委員会がこれに代わるが、重大ないじめ事案が発生したときは、緊急で開催する。
5 いじめの早期発見への取組
いじめは大人の目につきにくい時間や場所で行われたり、遊びやふざけあいを装って行われたりするなど、大人が気付きにくく判断しにくい形で行われることが多いことを教職員は認識し、些細な兆候であっても、いじめではないかとの疑いを持って、早い段階から的確に関わりを持ち、いじめを隠したり軽視したりすることなく、いじめを積極的に認知することが必要である。けんかやふざけ合いであっても、見えない所で被害が発生している場合もあるため、背景にある事情の調査を行い、生徒の感じる被害性に着目し、いじめに該当するか否かを判断する必要がある。このため、日頃から生徒の見守りや信頼関係の構築等に努め、生徒が示す変化や危険信号を見逃さないようアンテナを高く保つ。併せて、定期的なアンケート調査や教育相談の実施等により、生徒がいじめを訴えやすい体制を整え、いじめの実態把握に取り組む。学校いじめ防止基本方針において、アンケート調査、個人面談の実施や、それらの結果の検証及び組織的な対処方法について定めておく必要がある。アンケート調査や個人面談において、生徒が自ら SOS を発信すること及びいじめの情報を教職員に報告することは、当該生徒にとっては多大な勇気を要するものであることを教職員は理解しなければならない。これを踏まえ、生徒からの相談に対しては、必ず学校の教職員等が迅速に対応することを徹底する。また、生徒に対し、いじめられていることを誰かに相談することは恥ずかしいことではないことを十分に理解させることも重要である。
(1) 担任(学年)として
「New I’s」にある「いじめ発見のチェックポイント」を活用して、日頃から生徒の見守りや信頼関係の構築等に努め、生徒が示す変化や危険信号を見逃さないようにアンテナを高く保つ。そのため、
① 日頃から生徒の様子を観察する。
② 生活ノートなどにより生徒の状況を把握する。
③ 面談を学期に 1 回(期末テスト後)は行う。
(2) 生徒指導委員会として
① 週 1 回開催し、各学年の情報を共有し、速やかな対応が必要なときは対応策を検 討し、実施する。
② 生徒対象の「学校生活アンケート(生徒用)」を年 3 回(7 月、12月、3月)実施し、その結果とともに、「New I’s」にある「いじめ防止の取組のチェックポイント」を活用して、指導体制、教育指導の在り方、早期発見・早期対応に向けた体制、家庭・地域との連携の在り方について学校を挙げて改善に努める。
③ 学校生活についてのアンケート(保護者用)を年 3 回(7 月、11月、3月) 実施し、結果をもとに対応策を検討し実施する。
(3) 教育相談委員会としてスクールカウンセラーを交えて月 1 回開催し、各学年及び相談室の情報を共有し、速やかな対応が必要なときは対応策を検討し、実施する。
6 いじめの早期解決への取組 いじめに対する措置
本校の教職員がいじめを発見し、又は相談を受けた場合には、速やかに当該いじめに係る情報を報告し、「見沼中学校いじめ問題対策委員会」及び生徒指導委員会・当該学年を中心に役割分担を決めて、組織的な対応につなげなければならない。教員はささいな兆候や懸念、生徒からの訴えを抱え込まずに、又は対応不要であると個人で判断せずに、直ちに全て当該組織に報告・相談する。即ち、特定の教職員が、いじめに係る情報を抱え込み、「見沼中学校いじめ問題対策委員会」及び生徒指導委員会・当該学年に報告を行わないことは、法第 23 条第1項の規定に違反し得る。また、各教職員は、学校の定めた方針等に沿って、いじめに係る情報を適切に記録しておく必要がある。「見沼中学校いじめ問題対策委員会」及び生徒指導委員会・当該学年において情報共有を行った後は、事実関係の確認の上、組織的に対応方針を決定し、被害生徒を徹底して守り通すとともに加害生徒に対しては、当該生徒の人格の成長を旨として、教育的配慮の下、毅然とした態度で指導する。加えて、いじめられた生徒の立場に立って、いじめに当たると判断した場合にも、その全てが厳しい指導を要する場合であるとは限らない。例えば、好意から行った行為が意図せずに相手側を傷つけたたが、すぐに加害者が謝罪し教員の指導によらずして良好な関係を再び築くできた場合等においては、学校は、「いじめ」という言葉を使わず指導するなど、柔軟な対応による対処も可能である。ただし、これらの場合であっても、法が定義するいじめに該当するため、事案を法第 22 条の「見沼中学校いじめ問題対策委員会」及び生徒指導委員会・当該学年へ情報共有することは必要となる。
(1) いじめている生徒への指導(「New I’s」参照)
① いじめの事実関係・きっかけ・原因等の客観的な情報を収集する。
② 安全配慮義務に基づいて、事態に応じた適切な措置をとる。
③ いじめを完全にやめさせる。
④ いじめは絶対に許されない行為であることを徹底的に理解させる。
⑤ 人権と生命の尊さを理解させる。
⑥ 多くの教職員の協力を得ながら、指導を継続し、観察していく。
⑦ 学級活動を通して、役割・活動・発言の場を与え、認め、成就感を持たせるとともに、教職員との親しい人間関係をつくる。
⑧ いじめは、複雑な心の危険やストレスのサインと受け止め、本人の問題理解に努めるとともに、問題を繰り返さないように心の成長を促す。
⑨ いじめの内容によっては、警察等との連携を図る。
(2) いじめられている生徒への支援(「New I’s」参照)
① 「いじめられる側にも問題がある」という考え方で接することのないように留意する。
② 秘密を守ること、必ず守りぬくことを約束しながら話し合う。
③ いじめの事実を把握し、つらさや悔しさを受容し、共感的に理解する。
④ 不安を除去し、安全の確保に努める。
⑤ 身近な大人に相談することの重要性を伝える。
⑥ 自分の弱み・コンプレックスに対する否定的な見方や考え方をやめ、良い方向に自らを変えていけるようにする。
⑦ 自信回復への積極的支援を行う。
⑧ 不信感を抱いている対人関係の回復を支援する。
⑨ 機会あるごとにコミュニケーションを持ち、生徒との信頼間関係をつくる。
⑩ 自分の気持ちに自信を持って表現できるよう積極的支援を図る。
(3) 周りではやし立てる生徒への対応
① はやし立てることなどは、いじめ行為と同じであることを理解させる。
② 被害者の気持ちになって考えさせ、いじめの加害者と同様の立場にあることに気付かせる。
(4) 見て見ぬふりをする生徒への対応
① いじめは、他人事でないことを理解させる。
② いじめを知らせる勇気を持たせる。
③ 傍観は、いじめ行為への加担と同じであることに気付かせる。
(5) 学級全体への対応
次の点に留意し、いじめの早期発見、早期対応、早期解消に努める。
① 話し合いなどを通して、いじめを考える。
② 見て見ぬふりをしないよう指導する。
③ 自らの意志によって、行動がとれるように指導する。
④ いじめは許さないという断固たる教職員の姿勢を示す。
⑤ 道徳教育の充実を図る。
⑥ 特別活動を通して、好ましい人間関係を築く。
⑦ 行事等を通して、学級の連帯感を育てる。
(6) いじめの解消
いじめは、単に謝罪をもって安易に解消することはできない。いじめが「解消している」状態とは、少なくとも次の二つの要件が満たされている必要がある。ただし、これらの要件が満たされている場合であっても、必要に応じ、他の事情も勘案して判断するものとする。
① いじめに係る行為が止んでいる事
被害者に対する心理的または物理的な影響を与える行為(インターネットを通して行われるものを含む)が止んでいる状態が相当の期間継続していること。この相当の期間とは、少なくとも3か月を目安とする。但し、いじめの被害の重大性等からさらに長期の期間が必要であると判断される場合は、この目安にかかわらず、行田市教育委員会又は「見沼中学校いじめ問題対策委員会」の判断により、より長期の期間を設定するものとする。本校の教職員は、相当の期間が経過するまでは、被害・加害生徒の様子を含め状況を注視し、期間が経過した段階で判断を行う。行為が止んでいない場合は、改めて、相当の期間を設定して状況を注視する。
② 被害生徒が心身の苦痛を感じていないこと
いじめに係る行為が止んでいるかどうかを判断する時点において、被害生徒がいじめの行為により心身の苦痛を感じていないと認められること。悲哀生徒本人及びその保護者に対し、心身の苦痛を感じていないかどうかを面談等により確認する。本校は、いじめが解消に至っていない段階では、被害生徒を徹底的に守り通し、その安全・安心を確保する責任を有する。「見沼中学校いじめ問題対策委員会」に置いては、いじめが解消するに至るまで被害生徒の支援を継続するため、支援内容、情報共有、教職員の役割分担を含む対処プランを策定し、確実に実行する。 いじめが「解消している」状態とは、あくまで、一つの段階に過ぎず、「解消している」状態に至った場合でも、いじめが再発する可能性が十分にあり得ることを踏まえ、本校の教職員は、当該いじめの被害生徒及び加害生徒については日常的に注意深く観察する必要がある。
(7) 保護者への対応
① 被害者の保護者に対して
ア 速やかに家庭訪問し、学校で把握した状況を正確に且つ丁寧に説明する。
イ 本校として、徹底して子供を守り、支援していくことや学校の取組方針を具体的に伝え、誠実に対応する。
ウ 対応経過をこまめに伝えるとともに、保護者の気持ちを受容し、対応策について協議する。
エ 定期的に面談・家庭訪問をし、誠意を尽くした対話をする。
オ 子供の様子の変化などの経過について緊密に連絡を取り合う。
② 加害者の保護者に対して
ア 速やかに家庭訪問をし、いじめの事実を知らせ、本人にも再確認する。いじめの深刻さを認識してもらうとともに、学校の取組方針を伝え、協力を求める。
イ いじめの加害状況の共通認識と今後の対応への協力を得る。被害者への謝罪を促す。
ウ いじめ行為は絶対に許されるものでないという毅然とした姿勢を維持する。
エ 事実を認めなかったり、我が子は首謀者ではないなどと学校の対応方針を批判
したりするような場合は、あらためて事実確認と学校の指導方針等を示し、粘り強く理解を求める。
オ 家庭教育の在り方について一緒に考えて、具体的に助言する。
(8) 他校の生徒が関わるいじめに関する対応
本校の教職員が、いじめに係る相談等において他校の生徒が関わるいじめの事実があると思われるときは、当該校への通報その他の適切な措置をとる。
(9) 市教育委員会への報告
法第 23 条第 2 項に基づき、いじめに対する措置の結果を市教育委員会へ速やかに報告する。
<いじめに対する初期対応>
対応の流れ 教職員の動き等 留意点
1 いじめ情報のキャッチ(認知)
2 報告
・憶測を入れずに事実(些細なことでも)を報告
1 日目に対応(その日に)担任 教職員・保護者・地域
情報
担任 学年主任
報告
生徒指導主任
管理職
指示
担任 些細なトラブルは即指導
〇小さな危機を見逃していないか。見て見ぬふりをしていないか。
〇訴えには「あなたを全力で守りぬく」決意とメッセージを伝える。
3 事実関係の正確な
把握・情報収集
・いじめられた子、いじめた子からの事情聴取
・他の生徒、教職員からの事情収集
いじめと認知、判断した場合
報告
対 策 委 員 会
事情聴取
被害者 加害者
情報の突き合わせ・報告
対 策 委 員 会
報告
管理職
指示
担任 生徒指導主任
連絡 連絡
〇訴え、申し出に対してはその日のうちに行動する。
〇「大丈夫」の発言をうのみにしない。
〇面談の基本的スタンス:傾聴、共感的理解、適応へのサポート
4 問題状況の総合的
な把握・理解
生徒指導主任:資料作成、チーム会
議の招集
〇事実の経過にそって情報共有
5 いじめ対応チームの構築
・必要に応じて会議は複数回、継続的に開催する。
遅くとも 3 日目までにいじめ対応チーム(会議①)
<目的>
・アサスメント(見たて)による指導・援助体制の共有・確立
〇いじめを確実に止める。
〇双方の意見を傾聴し、見たて、職員一丸となり、毅然とした態度で対応する。
〇いじめの行為が止んで、少なくとも 3 か月間継続した状態を「解決している」状態であることに留意する。
6 事実の究明と支援・指導(サポートチームの構築・関係機関との連携)
被害者、加害者、周囲の生徒への指導、保護者対応(だれが、だれに、何を、いつ行うことを明確に)
被害者の保護者へ「本人が嫌がることをされていて心配なのです。」
加害者の保護者へ「人の嫌がるようなことを行っていて心配なのです。」
管理職・担任・学年主任・生徒指導
主任・養護教諭・相談担当
<いじめ問題への組織的対応図>
学校・家庭・地域社会からの生徒の気になる情報
情報を得た教職員
担任 学年主任 生徒指導主任 教頭 校長 調 査
家庭
学年会 職員会議
経過観察(生徒・保護者)
問題の解決(いじめが止んでいる状態が少なくとも 3 か月継続)
<対策委員会>
・問題の明確化
・指導方針の決定
・役割分担の決定
<いじめ対応チーム>
【具体的な指導・援助】
・被害者直接指導班
・加害者直接指導班
・間接指導班(周囲の生徒)校長
【関係機関との連携】
・スクールカウンセラー ・スクールソーシャルワーカー
・行田市教育研修センター教育相談室 ・児童相談所 ・よい子の電話教育談
・子どもスマイルネット ・福祉事務所 ・少年補導センター
・家庭裁判所 ・児童民生委員 ・警察署 ・人権擁護委員 等
解決に至らない場合、継続支援
7 重大事態への対処
(1) 重大事態の意味
重大事態とは以下に掲げる事態にある場合をいう。
① いじめにより生徒の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。
② いじめにより生徒が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。
「生命、心身又は財産に重大な被害」については、いじめられた生徒の状況に着目して判断する。例えば
ア 生徒が自殺を企図した場合
イ 身体に重大な障害を負った場合
ウ 金品等に重大な被害を被った場合
エ 精神性の疾患を発症した場合
などのケースが想定される。
※「相当期間」とは、年間 30 日を目安とする。ただし、生徒が一定期間、連続して欠席しているような場合には、この目安に関わらず、教育委員会または本校の判断により、迅速に調査を行う。また、本校は、生徒や保護者からいじめられて重大事態に至ったという連絡を受けたときは、重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たる。本校は、「詳細な調査を行わなければ、事案の全容は分からない」ということを第一に認識し、軽々に「いじめはなかった」、「学校に責任はない」という判断はしない。上述の事案で被害生徒が学校を退学・転学した場合は、退学・転学に至るほど精神的に苦痛を受けていいたという事であるため、生命心身財産重大事態に該当することが十分に考えられ、適切に対応を行う必要がある。生徒が欠席し(学校の設置者又はその設置する学校による対処)第 28 条 学校の設置者又はその設置する学校は、次に掲げる場合には、その事態(以下「重大事態」という。)に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するために、速やかに、当該学校の設置者又はその設置する学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする。一 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。二 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。
2 学校の設置者又はその設置する学校は、前項の規定による調査を行ったときは、当該調査に係るいじめを受けた児童等及びその保護者に対し、当該調査に係る重大事態の事実関係等その他の必要な情報を適切に提供するものとする。
3 第1項の規定により学校が調査を行う場合においては、当該学校の設置者は、同項の規定による調査及び前項の規定による情報の提供について必要な指導及び支援を行うものとする。ていないことから、「不登校重大事態の定義には該当しないため詳細な調査を行わない」などといった対応がとられることがないよう留意する。さらに、いじめにより重大な被害が生じた、という申し立てが生徒や保護者からあったときは、その時点で学校が「いじめの結果ではない。」あるいは「重大事態とは言えない。」と考えたとしても、重大事態が発生したものとして報告・調査等にあたる。生徒又は保護者からの申し立ては、学校が把握していないいじめに関する極めて重要な情報である可能性がある。そのことを踏まえ、重大事態としての調査にあたるべきである。申し立てについて調査をしないまま、「いじめの重大事態でない」と断言することはあってはならない。いじめという申し出が生徒や保護者からあったときは、本校が「いじめによる重大事態ではない」と考えたとしても、重大事態が発生したものとして報告・調査等にあたる。
(2) 重大事態が発生した場合、本校は行田市教育委員会へ事態発生について報告する。
(3) 調査の主体は、本校又は教育委員会とする。どちらが主体となるかは、いじめの経緯や保護者の訴え等を踏まえ、教育委員会が決定する。本校が調査主体となる場合であっても、「法 第 28 条第 3 項」の規定に基づき、教育委員会は、必要な指導や支援を行う。調査を実施する本校は、対策委員会により当該重大事態に関する調査を行う。(個々の重大事態により、専門的知識及び経験を有する当該いじめ事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有しない第三者の参加を図る。
(4) 上記(3)の調査は、客観的な事実関係を速やかに、正確に把握するための調査である。また、いじめ行為の事実関係を、可能な限り網羅的に明確にするものであり、因果関係の特定を急がない。また、法第23条第 2 項に基づき、本校としてすでに調査している事案であっても、重大事態となった時点で、本校は、調査資料の再分析や必要に応じた新たな調査を実施する。(ただし、法第23条第2項に基づく調査により事実関係の全貌が十分に明確にされたと判断できる場合は、この限りでない。)
(5) 上記(3)の調査に先立ち、アンケートによって得られた調査結果は、いじめを受け た生徒や保護者に提供する場合があることを調査対象となる生徒や保護者にあらかじ め説明しておく、
(6) 上記(3)の調査を行った対策委員会は、明らかになった事実関係をいじめられた生徒及び保護者に適切に提供する。(適時、適切な方法で経過報告、結果報告をする。)
(7) 上記(3)の調査結果は、行田市教育委員会へ報告する。その際、いじめを受けた生徒又はその保護者が希望する場合には、いじめを受けた生徒又はその保護者の調査結果に対する所見をまとめた文書の提供を受け、調査結果に添える。
(8) 調査を行う組織
本校は、その事案が重大事態であると判断したときは、当該重大事態に係る調査を行うため、速やかに、調査のための組織を設けることとする。この組織の構成は、調査の公平性・中立性を確保するため、学識経験者及び心理や福祉の専門家等の専門的知識及び経験を有する者であって、当該いじめ事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有しない者(第三者)とする。この調査において、本校が調査の主体となる場合は、「法 第 22 条」に基づき置かれる「いじめの防止等の対策のための組織」を、調査を行うための組織とする。
(9) 調査の実施
本校は、重大事態が発生した場合、教育委員会の指示を受け、調査を実施する。 この調査の目的は、当該事態への対処や同種の事態の発生防止を図るものであり、 民事・刑事上の責任追及やその他の訴訟等への対応のためのものではない。「事実関係を明確にする」とは、重大事態に至る要因となったいじめ行為が、いつ(いつ頃から)、誰から行われ、どのような態様であったか、いじめを生んだ背景・事情や 生徒の人間関係にどのような問題があったか、本校・教職員がどのように対応したかなどの事実関係を、可能な限り網羅的に明確にすることである。この際、因果関係の
特定を急ぐことなく、客観的な事実関係を速やかに調査する。 この調査は、本校が事実に向き合うことで、当該事態への対処や同種の事態の発生防止を図るものであり。本校は、行田市教育委員会の問題調査審議会に対して積極的に資料を提供するとともに、調査結果を重んじ。主体的に再発防止に取り組む。
① いじめられた生徒からの聴き取りが可能な場合
当該生徒はもとより、必要に応じて、在籍生徒や教職員に対する質問紙調査や聴き取り調査を行う。その際、いじめられた生徒や情報を提供した生徒を守ることを最優先とする。(例えば、質問票の使用に当たり個別の事案が広く明らかになり、被害生徒の学校復帰が阻害されることのないよう配慮する等。)
② いじめられた生徒からの聴き取りが不可能な場合
生徒の入院や死亡など、いじめられた生徒からの聞き取りが不可能な場合は、当該生徒の保護者の要望や意見を十分に聴取し、迅速に当該保護者に今後の調査の在り方について協議し、調査に着手する。
(10) 自殺の背景調査における留意事項
生徒の自殺という事態が起こった場合の調査の在り方については、その後の自殺防止に資する観点から、自殺の背景調査を実施することが必要である。この調査においては、亡くなった生徒の尊厳を保持しつつ、その死に至った経過を検証し再発防止策を講ずることを目指し、遺族の気持ちに十分配慮しながら行うことが必要である。 いじめがその要因として疑われる場合の背景調査については、法第 28 条第 1 項に定める調査に相当することとなり、その在り方については、次の事項に留意し、「生徒の自殺が起きたときの調査の指針」(平成 23 年 3 月生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議)を参考とするものとする。
① 背景調査に当たり、遺族が、当該生徒を最も身近に知り、また、背景調査について切実な心情を持つことを認識し、その要望・意見を十分に聴取するとともに、できる限りの配慮と説明を行う。
② 在校生及びその保護者に対しても、できる限りの配慮と説明を行う。
③ 死亡した生徒が置かれていた状況として、いじめの疑いがあることを踏まえ、本校は、遺族に対して主体的に、在校生へのアンケート調査や一斉聞き取り調査を含む詳しい調査の実施を提案する。
④ 詳しい調査を行うに当たり、本校は、遺族に対して、調査の目的・目標、調査を行う組織の構成等、調査の概ねの期間や方法、入手した資料の取り扱い、遺族に対する説明の在り方や調査結果の公表に関する方針などについて、できる限り遺族と合意しておくことが必要である。
⑤ 調査を行う組織については、弁護士、精神科医、学識経験者及び心理や福祉の専門家等の専門的知識及び経験を有するものであって、当該いじめの事案関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有するものではない者(第三者)について、職能団体や大学、学会からの推薦等により参加を図ることにより、当該調査の公平性・
中立性を確保するよう努める。
⑥ 背景調査においては、自殺が起きた後の時間の経過等に伴う制約の下で、できる限り偏りのない資料や情報を多く収集し、それらの信頼性の吟味も含めて、客観的に、特定の資料や情報にのみ依拠することなく総合的に分析評価を行う。
⑦ 客観的な事実関係の調査を迅速に進めることが必要であり、それらの事実の影響についての分析評価については、専門的知識及び経験を有する者の援助を求めることが必要であることに留意する。
⑧ 本校が調査を行う場合においては、行田市教育委員会から情報の提供について必要な指導及び支援を受ける。
⑨ 情報発信・報道対応については、プライバシーへの配慮の上、正確で一貫した情報提供が必要であり、初期段階で情報がないかといて、トラブルや不適切な対応がなかったと決めつけることや、断片的な情報で誤解を与えることのないよう留意する。なお、亡くなった生徒の尊厳の保持や、生徒の自殺は連鎖(後追い)の可能性があることなどを踏まえ、報道の在り方に特別の注意が必要であり、WHO(世界保健機関)による自殺報道への提言を参考にする。 また、「New I’s」の「Ⅱ 自殺予防対策編『資料』」も参考にする。
(11) その他の留意事項
重大事態が発生した場合、関係のあった生徒が深く傷付き、本校全体の生徒や保護者や地域にも不安や動揺が広がったり、時には事実に基づかない風評等が流れたりする場合がある。本校は、生徒や保護者への心のケアと落ち着いた学校生活を取り戻すための支援に努めるとともに、予断のない一貫した情報発信、個人のプライバシーへの配慮に留意する。
(12) 調査結果の提供及び報告
① 調査結果の提供及び生徒等への説明
重大事態に係る調査を行ったときは、いじめられた生徒やその保護者に対して、事実関係等の必要な情報を提供する責任を有することを踏まえ、本校は、調査により明らかになった事実についていじめられた生徒や保護者に説明する。ただし、これらの情報の提供に当たっては、本校は、他の生徒のプライバシー保護に配慮するなど、関係者の個人情報に十分配慮しなければならない。事実関係として(いつ(いつ頃から)、誰から行われ、どのような態様であったか、いじめを生んだ背景・事情や生徒の人間関係にどのような問題があったか、学校・教職員がどのように対応したかなど)について、また、適時、適切な方法で、経過報告も行う。ただし、いたずらに個人情報保護を立てに説明を怠ることはしない。質問紙調査の実施により得られたアンケートについては、いじめを受けた生徒又はその保護者に提供する場合があることをあらかじめ念頭に置き、調査に先立ち、その旨を調査対象となる在校生やその保護者に説明する。また、本校が調査を行う際、行田市教育委員会から情報提供の内容・方法・時期などについて必要な指導及び支援を受ける。
② 調査結果の報告
重大事態に係る調査を実施したときは、調査結果について、本校は教育委員会に報告する。 上記①の説明の結果を踏まえて、いじめられた生徒又はその保護者が希望する場合には、本校は、いじめられた生徒又はその保護者の所見をまとめた文章の提供を受け、調査結果の報告に添えて行田市長に送付する。